PROCESSED MEAT SHOP
KENTA TODA SOLO EXHIBITION
スニーカーの持つ記号性や身体性、意匠に強い関心を持ち、それらをモチーフにした作品を制作するシューズメイカーとして、東京を拠点に活動しているアーティスト戸田健太が、代官山のコンセプトショップCARV STORE とのコラボレーションで個展を開催。
本展では、食用のビーフジャーキーや鶏皮を素材にしたスニーカーを新たに発表。畜産業によって一度離散した「肉」と「革」を元の関係へ再配置した「加工肉」としてのスニーカーによって、個別に流通されながらも繋がり合う「食」と「物」の境界を崩し、消費文化の中で我々が崇めてきたものを問い直す展示となっている。メインビジュアルや空間設計は開催場所でもある CARV STORE が手がける。
ステートメント
紳士靴やヒール、バッグなどに代表されるラグジュアリーの多くには牛革などのレザーが使用されている。当然のことながら、それらは牛の“皮”なわけだから、細かく切断されて再成形された加工肉とも呼べる。しかし、人間は大昔に動物を「肉(meat)」と「革(leather)」という個別の概念に切り分け、畜産業による大量生産方式で”製造”してきたため、レザー品を見たときに、それが肉片だと思うことはない。 一方、大量生産の象徴でもあるスニーカーの消費文化に限っては、これと逆転したかのような現象が見られる。劣化を防ぐために透明フィルムでシューズを密閉する商習慣が存在し、新品のスニーカーに対して「Fresh(新鮮)」という形容詞を使い、ソールを舐めることでその鮮度を誇示するミーム行為すら散見される。収集、貯蓄、略奪の対象となりながら劣化防止まで施され、まるで生肉のように扱われるスニーカーは、人間が家畜を始めてから失ってしまった狩猟採集の本能を呼び覚ます”新しい肉”なのかもしれない。<br>本展では、畜産業によって一度離散した「肉」と「革」を元の関係へ再配置し、「加工肉」として成形したスニーカーを発表。個別に流通されながらも繋がり合う「食」と「物」の境界を崩し、消費文化の中で我々が崇めてきたものを問い直す。
作家コメント
ヴィンテージのレザー製品に長年かけて蓄積されたシワや傷、変色を、「エイジング」だと言って崇めるあの感覚は、ローストされたステーキの焼き目や質感に抱くそれと、同じものを共有しているのではないかと思っていました。人間が古来より有するカ ーニズム(肉食主義)が食とは別の形で表出した結果が、ヴィンテージ文化にあるのではないかと。 今回の作品は人間が家畜として飼育してきた主要な動物(羊、牛、豚、鶏)の革(皮)や肉を素材として使用しています。そのため、制作工程の中に「調理」が追加されました。鶏皮を縫製可能な状態まで薄く削いで乾燥させ、それを縫いつける。ビーフジャーキーを裁断しながら余った部分を食べる。調理と縫製の二つのプロセスが混じり合うことで、「食物」と「物」の境界が曖昧になってく感覚を抱きました。
作家プロフィール
戸田 健太(Kenta Toda)
1996 年生まれ。独学でスニーカーの製作技術を学び、2022 年からシューズメイカーとして東京を拠点に活動。
「意味のプロダクト」と化したスニーカーの持つ記号性や身体性、意匠に強い関心をもち、それらをモチーフにした作品を制作。形状、機能、素材、製作手法、使用方法など、独自の視点でスニーカ ーを再解釈することで、消費社会と大衆文化の象徴としてのスニーカーに内在する文化的な記号や意味、身体感覚を問い直す。
展覧会開催概要
タイトル : PROCESSED MEAT SHOP KENTA TODA SOLO EXHIBITION
会期 : 2024 年 8 月 23 日(金) -9 月 2 日(月) 12:00-19:00
会場 : CARV STORE
住所 : 東京都渋谷区猿楽町 10-8
問い合わせ: risairiguchi93@gmail.com (広報担当 : 入口梨紗)
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[スタートアップ助成]